0111うれしい誤算!変幻自在のボディ

うれしい誤算があった。
昨日、スキンを改良して異次元に体のパーツを送れるように改良をした。
想定していなかったことだけど、今までスキンに書き込み続けてきた魔法式同士が相互作用をして、新しい効果を生み出しているみたいだ。
今日はどこまでできるかのテストをしてみよう。

まずは、これだ。
ぼくは、のこぎりで自分の左手首を切り落とした。
いつもは、「もとどおりグミ」を食べて元に戻すところだけど、今日は違う。
そのまま、ぼくは左手首を左手の断面にあてる。
すぐに切断された左手首はくっつき、傷も見えなくなった。
バニラ「やっぱりだ。」 ぼくは再生機能を手に入れたみたいだ。
しかも、いつでもぼくが望むタイミングで体を戻すことができる。
これなら、以前に上半身を吹っ飛ばしてしまったときに困った、「胃袋がなくなったらどうしよう」問題は解決だ。

ぼくは外に出ると、誰もいない山の中に来た。
カバンの中に入っていたのは、この前ぼくの体を吹っ飛ばした時空爆弾だ。
誤作動がないように、何重にも包んである。
ぼくは包みをほどいて爆弾を手に取ると、周りに誰もいないかを何回も確認した。
木を巻き込むのもかわいそうなので、木がはえていないところを選ぶ。
両足をブーツごと足首のところで切断して、靴を置くようにそろえて置いた。
そして、足首のなくなった足で数メートル離れる。
爆弾を手に持ったまま作動した。
oto1{ドゴォン!} 暗闇がおとずれる。
急に暗くなったのは、光を感じるための眼球が失われたからだ。
うまく吹っ飛んだだろうか。
体の感覚を確認すると、計画通り足首から上が跡形もなく消し飛んだみたいだ。

僕は再生を試みる。
足首は爆発の衝撃で吹っ飛んでしまっていたので、まずは歩いて足をそろえるように集合した。
何も知らない人が見たら、透明人間がブーツだけ履いているように見えただろうな。
ブーツのくるぶしがもぞもぞと動き始める。
右足首からは右手、左足首からは左手が生えた。
それぞれの手首はぎゅっ、ぎゅっと勢いをつけて、ぎゅうぎゅうに詰まったバスケットから洗濯物を引き出すようにずるずると体を引きずり出し始めた。
やがて真っ二つに分割されたぼくの右半身と左半身が地面に立っていた。
僕は左右の手をそれぞれのわき腹にあてると、ぐっと中心に寄せて体を接合した。

バニラ「うん、問題なしだ。」 ぼくは、肉片が1個でも残っていれば再生できるような体になったらしい。
逆に言えば、すべての肉片が消し飛んでしまうとおそらく復活することはできないだろう。
あんまり考えたくないけど。

家に帰ってきた僕は、次のテストに取り掛かった。
僕は両手を真上に伸ばし、両手を握手するように組んだ。
勢いをつけると、上半身をねじり始める。
oto1{ぎちぎち…ゴキ…ゴキ…} 背骨が外れ、上半身が180度うしろを向いた。
でもまだねじるのをやめない。
皮膚や布がすれ合うおとをたてながら、肋骨を粉々に砕きながら、僕は体をねじり続ける。
最終的に、僕の体は直径5センチくらいの縄状になった。
ぼくの身長は今、4メートルくらいになっているだろうか。
縄の一番上からは僕の手首が、一番下からはぼくのくるぶしから先が飛び出ている。
僕はくるぶしを使って、縄のままぴょんぴょんと飛び跳ねてみた。
バニラ「ふぅ。」 縄の真ん中あたりから、ぎゅうぎゅうにしまっている体をこじ開けて、頭を出した。

ぼくは、ほとんど自分の体を思い通りの形にできるようになったらしい。
だから、「粘土化グミ」ももう必要なくなってしまった。

ぼくは体を元に戻すと、丸いスツールに足をそろえて座った。
座ったまま、足を徐々にひらいていく。
180度開いた。
まだ開いていく。
ついに、ぼくの体のうしろで左右逆に足がそろった。
右足の上に左足が来るように足を組むと、そのまま左右の足を入れ替えた。
ぼくは両手で頭をつかむと、
oto1{ぼきっ} そのまま180度回した。
首の皮が雑巾のように絞られてしまっている。
最後に、体を頭とは逆方向に回す。
ぼくの体は、座ったまま180度回転して、もとの人型に戻った。

バニラ「…ん? なんかおかしいな。」 ぼくの股間をさわってみると、つるつるだ。
大事なものがない!
そうか、お尻側についてしまっているんだ。
ぼくは股をくぐらせるように腕をのばして、それをつかんだ。
そのままぐいぐいと引っ張って、もとの位置に落ち着かせた。

ぼくは、椅子から立ち上がって階段を上った。
階段の上に立つと、全身をバラバラに切断して、10個ほどのパーツにわける。
パーツに分割されたまま、ぴょんぴょんと飛び跳ねるように階段を降りた。
そのあと、両足首のパーツだけを階段の下に残し、残りのパーツは浮遊する。
くるくると回りながら、階段の上に戻った。
そのあと、足首のパーツは歩いて階段を上る。
パーツを元通り並べなおし、人型に戻った。

すでにぼくは、体を考え付く限りの形に動かしたり、変形したりできるようになったらしい。
さらに、体のパーツが少しでも残っていれば死なない体も手に入れることができたみたいだ。
バニラ「これでもっとムチャな改造もできるようになるぞ!。」 ぼくの胸は、未来に広がる無限の可能性に最高に高揚していた。

<おしまい>